コンセプト

感性葉書について
写真が発明されたことで絵画は記録という使命から自由になれた
ように、電子メールが生まれたことで葉書も事務的な連絡から自
由になった。それを象徴して、葉書の表面には人間の豊かな表情
をもつブロンズ風の頭部とそれを表す言葉をデザインして感性葉
書を制作した。感性情報のみを載せて自由に世界を飛び回ること
ができるようになった葉書だが、実は郵便番号というコードによ
って制御されている。そこで、同じコードでも携帯で読み込むと
別の人の顔の表情を表示するQRコードを葉書に付けることで、無
機的に見えるコードにも感性情報を持たせることにした。怒りや
緊張の表情が目立つ現代であるが、多様な表情が共存してこそ豊
かな世界になるとの思いから、感性葉書の制作配布をアート活動
として始めた。尚、感性葉書は2004年度メディア芸術祭で審査
委員会推薦作品となった。

感性葉書リンクについて
笠尾個人において上記活動が始められたが、一方、写真をもとに
多様な表現を作り出すアルゴリズムSICをネットワーク上で利用
できるアプリケーションサーバーとして(株)ATRが開発した。単
に、写真を絵にすると言うだけであれば一般のフィルター処理と
変わらないが、SICはアルゴリズムを絵筆にしていると言えるほ
どの多様な表現を実現している。携帯で写した写真をその多様な
表現の中のどれにするかという指示と一緒にメールでSICサーバー
に送ると、数分後には、写真が作品になって返送されてくる。一
般のフィルターでは多様性がないためにどれも同じような無個性
な表現になってしまうのが常であるが、SICサーバーはその多様
性のゆえに利用者の個性を反映することができる。このSICサー
バーの特徴を感性葉書に盛り込んでコンセプトを拡張したのが、
感性葉書リンクプロジェクトである。感性葉書では普遍性を顔に
与えるためにブロンズ像風に加工していたのだが、感性葉書リン
クプロジェクトでは多くの参加者の色々な表情を写し、さらにそ
の人の好みの表現を選んでもらい、その場でサーバーを使って作
品にして感性葉書を制作することで、個人の個性を強調した。ま
た、葉書に付けるQRコードにはその人の直前直後の人の顔作品デー
タを付けることで、前後の人との時間的な繋がりを明確にした。
そのため、このプロジェクトは感性葉書リンクプロジェクトを呼
ばれている。
このようにして、感性葉書は参加型のアート作品として生まれ変
わった。
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